大ヒットの『3×3EYES<サザンアイズ>』シリーズの新章『鬼籍の闇の契約者』がスタート。コミックス第1巻が発売されましたので早速買ってきました。
高田裕三(著)『3×3EYES サザンアイズ 鬼籍の闇の契約者』 第1巻
『鬼籍の闇の契約者』(AA)シリーズは、前作『幻獣の森の遭難者』のラストで予告されていた『3×3EYES<サザンアイズ>』シリーズの最新作で、現在WEBマンガ「eヤングマガジン」にて連載されております。
なお、前作『幻獣の森の遭難者』シリーズのコミックスレビューは以下の記事でしております。

コミックス第1巻の表紙は三只眼と八雲、そして今回の新章で登場した新キャラの鳥谷喜一。
カバーを外すと、毎度お馴染みのオマケマンガと作者の後書きがあります。
ちなみに後書きには、このシリーズが最後の『サザンアイズ』シリーズになるかもと書いてあり、長年のファンとしては非常に不安です。まぁ“感じているだけ”とも書いてありますので、高田裕三先生もハッキリした事は決めていないと思いますが・・・
ダークマターの誕生
物語は、本編ラストに登場した南インド洋にあるサンハーラ神殿からスタートします。
サンハーラ神殿はどうやら新種の鉱物でできているらしく、それを目当てに米ロの民間開発会社が新しいレアメタルの開発実験をしているとのこと。
得体のしれないサンハーラに手を出している時点でもはや不安しかありませんが、開発施設がテロリストに占拠されサンハーラ神殿に仕掛けられた爆発物が爆発したことで、サンハーラが始動。テロリスト対策のため施設に来ていた八雲は騒動に巻き込まれてしまいます。
この事態を誘導したのが、開発施設の現場責任者だというスキウロスという人物。
目的はどうやら目障りな人間と鬼眼王の自滅らしいのですが、その手段が人々をそそのかしてサンハーラを暴走させることというのが何ともセコイ印象です。まぁ力で八雲やベナレスに勝てる敵キャラはそうそう出せないでしょうから仕方ないことですが。
しかし、動き出したサンハーラは、予想に反してすぐに止まってしまいました。戸惑う八雲ですが、この時サンハーラは海水から電子を取り出し、“無”から何かを生み出したとのこと。この現象を解析していたハーンは、のちにこれを暗黒物質・ダークマターと呼びます。
このダークマターは生まれてすぐ、一瞬で日本に転移し、日本人である鳥谷喜一と融合したのでした。
「神」になった男
この新章で登場した新キャラである鳥谷喜一は、炎上商法で再生数を伸ばす動画配信者らしく、ちょっとしたことがキッカケで飛び降り自殺の真似事をしていました。
そこへ突然サンハーラ神殿から転位してきたダークマターが現れ、鳥谷と融合します。南インド洋にいたダークマターは、一瞬で日本まで飛んできて鳥谷と融合したわけですが、なぜ鳥谷が選ばれたのかは不明です。
ダークマターと融合した鳥谷は暴走し無差別攻撃を開始しますが、事態に気づいた三只眼と葉子が現場へ急行。三只眼が鳥谷に接触して一旦はおとなしくさせますが、すぐに鳥谷は転位して消えてしまいます。
転位した鳥谷が向かった先は、最初に登場したサンハーラ神殿の開発施設。サンハーラが始動したことで施設にいた研究員は退避していたのですが、スキウロスはダークマターが戻ってくることを予見していたのか施設内に潜んでおり、鳥谷に接触してきました。
スキウロスによればダークマターは異なる次元の住人で、実態も考えも名前もない高次元の存在であり、いわば「神」と呼べる存在とのこと。ダークマターをうまく操れば「神」そのものになれると鳥谷をそそのかします。
「神」と聞いてその気になる鳥谷。スキウロスはそんな彼をみて、とりあえず邪魔者を排除するため月に行って龍皇城を破壊しましょうなどと、とんでもない事を言い出します。
龍皇城といえばベナレスの居城であり、鬼眼王の住むところでもあります。地球からは聖地を通らねば行くことすらできない敵の本拠地なのですが、スキウロスはまるで電車に乗って出かけるようなノリで提案してきます。
破壊される龍皇城と封印されたベナレス
軽いノリで月の龍皇城を破壊しようと提案するスキウロス。結果的にはそれはアッサリ達成されたようで、突然、月の裏側が大爆発を起こします。
どうやら鳥谷は本当に月へ行って龍皇城を破壊したようで、九頭龍将(ゲゲネイスとノルマルテ)を吹っ飛ばし、ベナレスも封印してしまった模様。
ポッと出の新キャラで、しかもちょっと前まで普通の人間だった鳥谷が、本編のラスボスだったベナレスをあっさりやっつけてしまうとは非常に驚きでした。ベナレスも新章での初登場がいきなり封印とはツイてないですね。
最もベナレスが死ぬはずはないので、きっと見せ場を作って再登場してくれると思いますが・・・
ところで肝心の鬼眼王・カーリーはどうなったのかというと、どうやらベナレスが地球へ逃がしていたようで無事でした。
カーリーは、南インド洋から日本へ帰ってきたばかりの八雲を頼って葉子の自宅まで逃げてきたのですが、鳥谷が月からの転位で追いかけてきます。
「神」の力を手に入れたという鳥谷ですが、日本から南インド洋に行ったり、そこからさらに月まで行ってしまったりと、あらゆる場所に一瞬で移動できる力はまさに神にふさわしいですね。
カーリーからの連絡により葉子の自宅へ急行した八雲は、月から転位してきた鳥谷といきなり対峙することになります。
もう一人の鬼眼王!?
いきなり決戦かと思われた八雲と鳥谷の戦いですが、霊力や呪力がまったく通用しない鳥谷は意外にも物理攻撃には弱いらしく、八雲のワンパンで沈んでしまいます。
続いて鳥谷の耳から、まるでランプの精のように登場したスキウロスとの戦いですが、戦闘中、三只眼に異変が起きます。
どうやら本編のラストバトルで鬼眼王から取り込んだ複数の三只眼吽迦羅の人格が暴走し、人格崩壊が起きかけているようです。
これは三只眼自身も自覚しており、最近は取り込んだ複数の三只眼吽迦羅の人格を押さえ込みながら本来の「三只眼」の人格を維持することが困難になってきているようです。このままでは現在存在する鬼眼王とは別の、第二の鬼眼王が誕生してしまう可能性があるという三只眼。
それを防ぐには、「人化の法」で自身を含む三只眼吽迦羅の力をもう一度鬼眼王に返すしかないと言う三只眼ですが、本編でも同じことをして散々苦労したのですから、これを八雲が許容するとは思えません。なんとか三只眼の人格だけを残して他の三只眼吽迦羅たちをおとなしくさせられればよいのですが、これは解決が難しそうです。
平和な世界を創るんですヨ
三只眼吽迦羅の人格が暴走し、その場に倒れ込んでしまった三只眼。次に彼女が目を覚ますと、そこはサンハーラ神殿の洋上でした。
三只眼を連れてきたのはスキウロスでしょうが、三只眼が倒れた時には八雲がそばにいたはずですから、どうやってスキウロスが三只眼をここまで連れてきたのかは不明です。
目を覚ました三只眼の傍らには鳥谷がいました。ダークマターをウロボロスと名付け、その力をだいぶ操れるようになっているような鳥谷ですが、彼の自意識は結構ハッキリ残っているようですね。
そんな彼に、目的は何かと尋ねる三只眼。すると彼は、平和な世界を創ることだと言うのでした。
おおざっぱすぎるという三只眼の言うとおり、どんな状態が彼の言う”平和”なのかまったくわかりません。
もっとも、彼自身にもまだ具体的な方法はないようです。一般人がいきなり人智を超えた力を手に入れてしまったのですから、それも無理はないでしょうね。
どうも悪い人物には見えない鳥谷ですが、すぐそばにいるのが人類を消滅させたいと言うスキウロスですから、早いところコイツを排除しないと事態の収拾がつかなくなりそうです。
ここで第1巻は終わり。第2巻に続きます。
感想
前作からおよそ8ヶ月ぶりにコミックスが発売されたサザンアイズシリーズ。大好きなマンガなので、発売が楽しみでした。
『幻獣の森の遭難者』のラストではベナレスが八雲を勧誘していたことから、新シリーズでは最初からベナレスががっつり絡んでくるものと思っていたのですが、予想に反してベナレスの出番は一コマのみであっさり退場してしまったのが意外でした。
まぁ、サザンアイズでのベナレスは何でも出来るジョーカー的キャラですから、彼がいるだけで大抵の謎や困難は解決できてしまうので、物語的にはどこかに行っててもらったほうが面白くなるのですが・・・
そういえば今回、久々に鬼眼王が登場しました。
いつもはカーリーの人格が出ているので、この姿で鬼眼王が出てきて喋るのは新鮮ですね。『幻獣の森の遭難者』ではまったく出番の無かった鬼眼王でしたが、この新シリーズではベナレスに代わって、八雲が鬼眼王を守ることになるんでしょうか?
ベナレスを失った鬼眼王と三只眼を失った八雲が共闘するのは、敵味方のパーティーメンバーをシャッフルしているようで何だか面白い展開になりそうです。