人気爆殺アクションマンガ『BTOOOM!25巻』(AA)の最新25巻が発売されましたのでレビューします。
島での殺し合いゲームが始まって8日目。長かったこのゲームも次の26巻で終わりとのことで、最終回に向けて盛り上がっていきます。
井上淳哉(著)『BTOOOM!』 第25巻
第25巻では第114~117話までを収録。
表紙は輝夜を抱きかかえる織田。ここまでなんとか生き残ってきた輝夜でしたが、25巻ではついに・・・といった状況です。
中表紙は輝夜と、久々登場の天草。これは教団時代の輝夜たちでしょうね。
天草はとっくに死んでいますが、この巻で彼と彼女の過去も明かされます。以前の描写からもわかっていましたが、天草自身は輝夜のことを大事に思っていたようです。
こちらは初回特典であるお馴染みのポストカード。毎回絵柄がかっこいいですね
以前のレビューは、以下の記事でしております。

脱出失敗
竜太たちを救うために島に上陸したペリエと特殊部隊の面々。ペリエとは別行動をとっていた特殊部隊の隊長・ドミトリーは、織田と合流してボートで島を脱出するところでした。
ところが島を出た直後、米軍のドローン部隊に見つかってしまいます。
この時、ドローンの一機が搭載していたのが指向性エネルギー兵器(ADS)と呼ばれる誘電加熱兵器であり、遠くから電磁波を浴びせて人の脳を破壊するという恐ろしい兵器でした。
現実のADSにはそこまで殺傷能力は無いそうですが、作中では特殊部隊の兵士一名が死亡しております。しかし、このドローンを操縦していたキティン(17歳・猫耳)は眠らせただけと思っているようで、他のメンバーが実弾で人殺しを行っているのを見ているのに、なぜ自分だけは人を殺していないと思っているのか不思議です。
結局、キティンともう一機のドローンによりボートは沈められてしまい、島へ逆戻りすることとなった織田たち。ドミトリーと織田はペリエたちと合流するため、ペリエのいる島の山頂を目指します。
ペリエの敗北
事態はさらに悪化します。ペリエが奪ったBTOOOMのメインシステムへのアクセス権が、再び財団側に渡ってしまいます。
このための防壁を作成していたペリエでしたが、あとちょっとのところで間に合わずメインシステムは復旧、ドローン部隊はレーダーを使えることになり竜太たちの居場所は丸見えとなってしまいました。
ペリエは敗北し作戦は失敗したわけですが、一応システムが復旧したことによりクリア認定だけは済ませることができたので、あとは島から脱出するだけとなりました。
しかし、この敗北は竜太たちにとっては致命的ともいえ、姿が丸見えの状態で空と陸から攻めてくるドローン兵器に対して、残り少ないBIMで対抗しながら島からの脱出しなくてはならなくなりました。
さらに、ティラノスジャパン本社でシュヴァーリッツ卿たちを人質に籠城していた飯田と竜太の継父・久信でしたが、クイーン・ガーラと呼ばれる女性の部下たちにより制圧されてしまいます。これにより財団はメインシステムを完全に掌握することとなり、飯田たちの生存も絶望的になってしまいました。
瀕死の輝夜
システム復旧により、ドローン部隊のレーダーに捕捉されてしまった竜太たち。島から脱出する前にドローン部隊をどうにかしなければなりません。
といってもBIMも少ない状況ではどうすることもできず、攻撃してくるドローンから逃げ回ることで精いっぱいの竜太たち。そんな時、一瞬の油断から輝夜がザビエラが操縦するドローンのレーザー攻撃を受け、重傷を負ってしまいます。
これを見て激昂した吉良と上杉はドローンを攻撃します。が、まったく歯が立ちません。
そこへペリエたちが合流。ひとまず逃げますが、竜太と吉良だけはザビエラを倒すべく、ドローンへ立ち向かっていきます。
ここで輝夜の過去が明らかになりますが、どうやら彼女の両親は事故で死亡し輝夜だけが生き残ったようです。その後、輝夜を引き取った叔父・叔母はあまり良い人ではなかったらしく、ほどなく天草の教団に預けられることに・・・
すでに作中では死んでいる天草ですが、輝夜と出会ったころから彼女を大事にしていた様子で、両親が亡くなったあとの輝夜にとっては父親代わりだったのかもしれません。
瀕死の輝夜を救うため、一刻も早くボートで島を脱出し、治療しなくてはならなくなった一行。ですが、ドローンの銃撃でほとんど進むことができません。
そんな時、急に立ち上がって歩き出す輝夜。重傷を負っている身体でさらに銃撃の中を歩いていく輝夜についていくと、そこには織田とドミトリー隊長がおり、無事に合流することができました。
重傷の身体で歩き、銃弾の雨の中それに当たることもなく、さらにまっすぐドミトリーたちのいる方向へ行った輝夜を見て奇跡を感じたペリエ。これは彼も輝夜の信者になるフラグでしょうか。
崩れる均衡
一方、制圧されたティラノスの本社では、飯田が最後のあがきをしておりました。
銃撃され縛り上げられた飯田。もはや死を待つのみかと思いましたが、実はこの司令室や島の状況はすでにリアルタイムで配信されており、それらは世界の特権階級である面々に見られていたのでした。
当然シュヴァーリッツ卿が人質にとられた姿も配信中で、ペリエたちもいたとはいえ飯田たち素人二人に好き放題やられた姿を世界の権力者たちに見られてしまったシュヴァーリッツ卿の求心力の低下は避けられそうにありません。
これがどこまで影響するかわかりませんが、ひょっとすると”影の支配者”と呼ばれたシュヴァーリッツ卿に大きな打撃を与えることになるのかもしれません。
コイツらKAMIKAZEか…!
輝夜を撃たれたことで、再びザビエラと対決する竜太と吉良コンビ。
ザビエラの頑丈なビックパイソンタイプのドローン相手に、バリヤー式BIMを展開させながらリモコン式BIMで対抗します。
銃弾を防いでくれるバリヤー式BIMといっても銃口を突っ込まれれば意味がないため、マシンガンを乱射しながら向かってくるザビエラ。それに対して竜太と吉良も密着しなければBIMで有効な攻撃ができませんから突進してきます。
しかし、銃弾の雨のなかで密着して攻撃するというのは、実際には正気の沙汰ではないでしょう。ザビエラもそう感じたらしく、向かってくる吉良と竜太にあきらかに怯えだします。
そのため攻撃が荒っぽくなり、そのスキを突いた竜太と吉良の連携攻撃によりドローンは破壊され、ザビエラは再び敗北してしまいました。ザビエラはこれだけ有利な条件であっても(二人がかりとはいえ)竜太に負けたのですから、もう戦いを挑んでこないのではとも思いますが、執念を見せて再び向かってきそうな気もしますね。
そして、ここで鷹嘴から突然、戦闘中止とゲームを再開してもらう宣言が全員に伝えられます。
すでにクリア認定は出ている竜太たちですから従う気はありませんでしたが、自力で脱出しても犯罪者として財団が指名手配を回すと脅してくる鷹嘴。さらにルール通りゲームに勝利すれば、多額の賞金と自由を保障しようと言い出します。
今さら鷹嘴を信用できるはずもありませんが、織田だけは違いました。
彼の母は重病で治療には多額のお金が必要ですし、母のためにも犯罪者になるわけにはいきません。
織田は鷹嘴の話しに乗り、竜太に決闘を申し込みます。ここで25巻は終わりで、次回最終巻である26巻に続きます。
なお、26巻は変則的で真実編と友情編の2冊が発売されるとのこと。真実編は織田との対決で、友情編は織田を説得するルートのようです。
マンガでこうした試みは珍しいですね。いずれも7月発売予定とのことですが、ファンは当然2冊とも買うでしょう。今から発売が待ち遠しいです。
感想
どうにもならないと思っていた指令室の占拠ですが、まさかシュヴァーリッツ卿の影響力の低下までもっていくとは予想外でした。巨大な権力者であるシュヴァーリッツ卿と財団の問題も、竜太たちが島から脱出することで一気に解決できるかもしれません。
その代わり竜太たちの戦闘は激しくなるばかりでしたが、ここへきてまさかのゲーム再開の流れと織田との決闘は意外でした。
まぁ、あのままドローン部隊と戦っていても勝機は薄かったですから、バランスを考えるとよかったのかもしれません。ただ、このままドローン部隊が大人しくしているようにも見えないのですが、本当にこれで出番は終わりなんでしょうか?
そして、ペリエの見せ場が敗北という形になったのは残念でした。もうちょっと活躍してほしかったのですが、島から脱出したあとのほうが仕事があるでしょうから、そちらに期待したいです。
あと23巻から株が上がりっぱなしの上杉ですが、この巻でも撃たれた輝夜のために激昂したり、腰を痛めているにも関わらず彼女を背負ったりと大活躍。
さらに織田が鷹嘴の話しに乗ったとみるや先を読んでヒミコを逃がしたりするなど、初期の彼とは別人のような行動をとっております。
本編の主人公は竜太ですし、織田も主人公格のキャラですが、個人的には上杉も十分メインを張れるほどのキャラクターだと思います。ぜひ、彼には生き残ってもらいたいですね。
そして、次の26巻がラストになるとのことで、ファンとしては寂しい限り。と思ったら、展開を変えて2冊発売されるということでビックリです。織田が仲間になるのか敵になるのかの違いのようですが、結末も含めどの程度変わるのか非常に楽しみです。
※最終巻が発売されました。異なるエンディングを収録した2冊同時刊行となっております。

