
引用:栗山ミヅキ(著)『保安官エヴァンスの嘘』 第4巻 表紙 小学館 2018年5月発行
エヴァンスとオークレイが”偽装夫婦”を演じる『保安官エヴァンスの嘘』の第4巻を買ってきたのでレビューしたいと思います。
栗山ミヅキ(著)『保安官エヴァンスの嘘』 第4巻
『週刊少年サンデー』で連載中の『保安官エヴァンスの嘘』のコミックス第4巻。第36~48話までを収録しております。
以前のコミックスのレビューは以下を参考にしてください。

表紙はエヴァンスとオークレイ、そして新キャラのマティ・ブリッジス。

引用:同上
1~3巻の表紙と比べると、ちょっと映画っぽいイラストに見えます。
新キャラのマティは4巻の重要人物で、今後も登場するかもしれません。
初の長編・「マティの逃亡」編
第4巻では作品では初となる長編「マティの逃亡」が描かれております。
賞金首を追いかけ、遠くの町までやってきたエヴァンスとオークレイ。無事、捕まえることはできましたが、現地の保安官事務所へ賞金首を引き渡しに行くと、何やら町が騒がしいことに気づきます。
実はその町は【ブラックハウンドギャング】が支配する町で、彼らは身代金目的で誘拐した銀行家の娘であるマティ・ブリッジスが逃げてしまったため、慌てて探しているのでした。
そのマティを偶然見つけたエヴァンス。マティから状況を説明され、(かなり可愛げがない言い方で)助けてほしいと依頼を受けたため(オークレイも巻き込んで)彼女を連れて町から脱出することになります。
新キャラのマティですが、10歳という年齢に似合わない大人びいた言動をしており、素直ではない性格とあわさって、かなり可愛げのないキャラクター。

引用:同書 12ページ
しかし、これはギャングに誘拐されたとき、父親が身代金の支払いを渋ったことを知ったために不貞腐れていた部分も大きかったようで、根は父親想いの女の子のようです。
この長編だけでなく巻末のエピソードにも登場しており、今後も登場が期待されます。
ギャングからの逃走
さて、ギャングから逃れるため、列車で町から出ようとするエヴァンスでしたが、ギャングの検問を突破するため、とっさにマティを”自分の娘”、オークレイを”妻”と言ってしまいます。
それを聞いて、口では悪態をつきながらも、まんざらではないオークレイ。実に楽しそうです。

引用:同書 22ページ
検問を突破し、無事に列車に乗ったエヴァンス達。これで終わりかと思ったら、列車にはギャングたちも乗っており、依然として油断はできません。
そして、その列車にはギャングの誘拐事件を嗅ぎつけた新聞記者、メリッサ・レインも乗っていました。メリッサは以前、エヴァンスの結婚報道を書いた記者で、久々の登場です。
メリッサの最悪な勘違い
そのメリッサですが、以前エヴァンスを取材したときに、ある女優とエヴァンスが結婚間近と勘違いしたのですが、この勘違いを今も続けており、そこへ今回エヴァンスがオークレイと結婚していたとわかったため(それはウソなんですが)、勘違いにさらに拍車をかけてしまいます。
結果、メリッサから見たエヴァンスは、結婚して子供もいながら女優と不倫をしていた最低のクズヤローと誤解してしまいます。

引用:同書 42ページ
そして、ギャングとの事情を分かってくれていると勘違いしたエヴァンスの言動によって、その誤解はより強固なものになっていきます。

引用:同書 43ページ
すれ違いで話がややこしくなるのはギャグ漫画の定番ですが、エヴァンスの評価の下がりっぷりが半端ではありません。彼女いない歴=年齢のエヴァンスですが、そのエヴァンスが結婚していてあげく不倫までとは、絶対ありえないだけにさらに悲惨です。
意外な?救援
一方、ギャングが改めて列車の乗客を調べだしたことでマティを隠し通すことができなくなったエヴァンス達。やむなく銃で反撃します。
元々、実力者が二人も揃っているわけですから、ギャングの制圧はお手の物でした。
しかし、馬に乗ってギャングの増援がやってきます。その中のリーダー格である悪徳保安官はエヴァンスが機転を利かせた作戦により倒します。人質を取られて不利な状況だったのですが、それでもしっかり敵を制圧できるエヴァンスの能力の高さを改めて感じますね。
しかし、新たな増援とおぼしき連中が列車に近づいてきており、その数の多さに青ざめるエヴァンス。が、実はこの連中はマティの父親スコット・ブリッジスの救出隊でした。

引用:同書 78ページ
実はスコットは、身代金交渉をしながら裏で救援隊を編成し、娘を救い出そうとしていたのです。
マティが列車で逃げてしまったため、それを追いかけてきたわけですが、結果的にギャングの増援を一網打尽にすることに成功。スコット自身は列車に単身乗り込み、娘の救出に来たのでした。
そこで対峙したのが偽の父親・エヴァンス。どちらもマティを助けるためなのに銃を向けあうハメに・・・

引用:同書 80ページ
それにしても娘を助けるため、武装したギャングと戦う覚悟をしたスコットは立派な父親です。マティが言っていた身代金を支払うことを躊躇したというのも、金を払ってしまうと人質が殺されることがあることを知った上での行動であり、けっして娘を見捨てていたわけではありませんでした。
結局、事実を知ったマティの乱入で二人が戦うことはありませんでしたが、なぜか微妙にエヴァンスが傷つくことで事件は解決しました。
悲劇のテッド
人質事件を無事に解決したエヴァンス。しかし、彼は新聞記者のメリッサにオークレイと結婚していると勘違いされたあげく、不倫までしていると誤解を受けていることを知りませんでした。
その誤解のせいで、後日、エヴァンスの事務所を訪ねたメリッサがエヴァンスとオークレイがひそひそ話しをしているのを見たとき、離婚話ではないかと勘繰ってしまっても不思議ではありません。
それを聞かされ、驚いたのが助手のテッド。エヴァンスのことなら誰よりも知っていると自負しているテッドですが、そのエヴァンスがオークレイと結婚していたあげく不倫までしていたと聞かされ、ショックを隠し切れません。

引用:同書 179ページ
さらに追い打ちをかけるように、エヴァンスに子供がいたことまで聞かされてしまいますw

引用:同書 182ページ
この事実(勘違いだけど)に衝撃を受けたであろうテッドですが、それでも彼を気遣うセリフが言えるのは、やっぱりエヴァンスを信頼しているからでしょうか。
最後には誤解が解けますが、テッドにしてみれば相当あせったでしょうね。同時にメリッサは新聞記者としてかなりダメな部類ということも判明しました。
”さすがにどこかで気づきません?”とはテッドのセリフですが、まさにその通り。この先もトラブルメーカーとして、エヴァンス達を悩ませそうです。
感想
第4巻での注目は、なんといっても全7話の長編「マティの逃亡」でしょうか。
長編があるということは人気も安定したということだと思いますので一安心です。
相変わらず彼女がいないエヴァンスですが、オークレイとの関係も微妙に進んでいるようですし、そもそも両想いの二人ですからいつ進展してもおかしくはなさそうです。
また、新キャラのマティですが、長編のためのゲストキャラだと思っていたら最後にも登場していたので、もしかしたら準レギュラーくらいにはなるのでしょうか。これまでの作中にはないキャラクターですので、今後の登場にも期待したいです。
そういえば悪人に恐れられているエヴァンスですが、4巻ではとうとう裏社会で賞金をかけられていることが判明します。
今後は、エヴァンスの首を狙った事件も多くなると思いますので、そうした悪人を相手にしたエヴァンスの活躍にも注目です。