ヤングジャンプで好評連載中の赤坂アカ『かぐや様は告らせたい』の最新コミックス第8巻が発売されたのでかんたんにレビューします。前回から登場した伊井野ミコを生徒会メンバーに迎えた白銀たちのドタバタコメディが加速していきます。
赤坂アカ(著)『かぐや様は告らせたい』 第8巻
累計コミックスが200万部目前という人気ラブコメマンガ『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』の最新コミックス第8巻を買ってきました。前回紹介したときは5巻で80万部でしたので、人気度も加速しているようです。

8巻では、伊井野ミコが生徒会の会計監査として迎えられレギュラー化。シリアスシーンも多めだった7巻とは打って変わって、ほぼ全編ギャグの賑やかな巻となりました。
第8巻では第71~80話までを収録。表紙は四宮かぐやと藤原千花。表紙に二人以上が登場するパターンは6巻に続いて2回目です。
イラストはかぐやに抱きつく藤原書記。いつもなら藤原の一方的なものに見えますが、コミックスを読んでみるとそれだけではなかったことがわかります。
憧れと現実のギャップに悩む伊井野ミコ
前回生徒会選挙に立候補し、白銀に敗れた伊井野ミコ。その後、白銀に誘われ、生徒会に会計監査として参加することになり、晴れてレギュラーキャラとなりました。
作者によると裏主人公の石上と対になる裏ヒロインだという伊井野ミコ。8巻ではさっそく大量に出番があるのですが、登場シーンがだいたい間の悪い場面ばかりで、あこがれの生徒会が実は白銀会長によるヤリサーだったのではと壮大な勘違いをしてしまいます。
例えば、白銀にマッサージしているかぐやを見て勘違いしたり・・・
マンガのネタバレをする藤原書記を強引に止めるシーンをみて、〇〇○されていると勘違いしたり・・・
誰もいない体育倉庫で白銀がかぐやを押し倒した(ように見える)ところを見たりと、ひどいシーンばかり。「クズめ・・・!!」はなかなか辛辣なセリフです(状況的には当然ですが)。
7巻ラストでの会長のヤリ〇ン疑惑もあり、もともと思い込みが激しく想像力豊かな性格だという伊井野は完全に生徒会を不純異性交遊の場だと思い込んでしまいます。なまじ生徒会に憧れがあっただけに、現実とのギャップで彼女は思い悩むようになっていき、生徒会に入って数日後にはもうやめたいと言い出してしまいます。
ちょっと可哀想。でも、毎週オチ担当みたいに現れて、作者は伊井野をけっこう使い勝手の良いキャラにしていると思います。
四宮副会長こそが悪の権化
これまでの生徒会の姿を見て、すっかり生徒会への意欲を失ってしまった伊井野は、友人(選挙のときにも手伝ってくれたメガネの幼なじみ・大仏こばちという名前だと後に判明)に相談します。
さすがに生徒会がヤリサーだというのは間違いだろうと思う友人。冷静な友人でよかったと思ったのもつかの間、ある意味この友人のせいで勘違いを解消するどころか、方向性があさってのほうに向いてしまいます。
そして、焼き印を押される白銀会長(おそらく)のイメージ図。ケツまでしっかり描かれていて思わず吹き出してしまいましたw
そして、持前の想像力でこれまでの場面の印象が180度変わっていき、なぜか白銀ではなくかぐやが悪の権化だと言い出す伊井野。
この勘違いを事実と思い込み、その場ですぐにかぐや本人を糾弾しにいく伊井野。妄想気味の思考で、かつ直情的、しかも行動力があるとか、これ以上ないくらい最悪の性格ですね。これはストッパー役がいないとかなり危ない性格ですね。今はギャグっぽく描写されていますが、キャラ的にいつでもシリアス方面に話しを振れそうでちょっと怖いです。
期待の新キャラである伊井野ミコですが、過去には石上とも色々あったらしいですし、そのうち重たい話が飛び出してきそうで今から緊張しています。
恋の病
新キャラの伊井野に押され気味ですが、かぐや様も負けじと活躍?します。
ある日、生徒会で白銀とのちょっとした会話のあと倒れてしまったかぐや。元々母親と同様に体が丈夫ではないというかぐやは、救急車で急いで病院に搬送されます。そして、かぐやが告げられた病状がこちら。
なんと倒れた原因は恋のドキドキでした。これには同行した早坂も赤面して俯くしかありません。
どうやら体育倉庫でちょっとしたキッカケから白銀に押し倒されてキスされそうになって以来、異常なくらい白銀を意識してしまい、ちょっと触れたタイミングで倒れてしまったようです。
恋愛に関しては免疫がほぼないと思われていたかぐやでしたが、まさかここまで重症だとは思ってもみませんでした。しかも、いまだ白銀を好きだという気持ちを認めていないかぐやのため、検査やらなにやらで色々と恥(おもに早坂がですが)を晒してしまう結果に・・・
というか、いまだに白銀を好きだと自覚していないことにビックリです。ここまでくるとピュアを通り越してもはやアホなのでは?侍女である早坂の気苦労は果てしなく続きそうです。
その思いは本物ですか?
ほぼ全編ギャグが入っていた8巻ですが、唯一ちょっとイイ話し風になっていたのが、第77話の【藤原千花は聞き出したい】でした。
全編通してアホなのは相変わらずの藤原書記。新キャラの伊井野ミコが生徒会に入ってきても、彼女の存在感はまったく薄れません。画面からアホさ加減がにじみ出るどころか、こちらに振りかぶって全力でぶつけてくる勢いです。
そんな彼女が最も大切にしている友人が四宮かぐや。逆にかぐやのほうは藤原を見下した描写が多すぎてもはや虫けらぐらいにしか思っていないのでは?などと思っていたのですが、ひょんなことからそうでもなかったことがわかるのがこのお話しとなります。
生徒会の女子メンバーだけで伊井野の歓迎会をやることになったかぐや達。盛り上がる話題といえば藤原が大好きな恋バナ、というわけでちょっとした小細工から自分には好きな異性(実はかぐやのこと)がいると話し出します。
その話しを聞いて藤原が好きなのは白銀ではと勘違いするかぐや。当然、自分も好きですから(本人は否定していますが)それを言えば藤原との友情は終わってしまうと想像します。
そうなると恋か友情どちらかを選ばなければなりませんが、そうなった時には迷わず恋を選ぶだろうと思っていたかぐや。
しかし、実際に藤原との友情か白銀との恋愛かを天秤にかけてみると、そのどちらも選べないことを自覚します。
自分が思っていた以上に藤原との関係を大切に思っていた事に気づいたかぐやは、藤原にこんな問いかけをしてしまいます。
白銀のことは好きだが、藤原のことも大事に思っているからこそ出た質問でしょうね。正直グッときました。
藤原は真面目に答えますが、その答えを聞いてかぐやがとったのは友情だったか恋愛だったか、結末も含めてコミックスで確認してもらいたいです。
感想
ちょっとシリアスが多めだった7巻とは違い、ギャグ満載だった8巻は個人的には大満足でした。
中でも笑ったのが、かぐやが倒れて病院に行く話。医者が白銀の写真を見せてと言って出てきたモノは不意打ちすぎて爆笑してしまいました。
ドキドキしすぎて倒れるかぐや様には正直ちょっと引きましたが、一番好きな早坂の出番があったのでよしとします。
というか早坂さんの出番少なすぎません?次巻での出番に期待したいです。
新キャラの伊井野ミコも良い個性を発揮していて、上でも書きましたがギャグにもシリアスにも振れるキャラクター造形は見事だなと感心してしまいました。今後の登場シーンも多いに期待できます。
逆に出番がほとんどなかったのが、白銀の妹・圭。初登場から結構経ちますが、未だメインと呼べるほど登場しておりません。8巻でも2~3コマぐらいしか出番がなく、このままでは存在すら忘れてしまいそう。なんとか救済してもらいたいところです。
そして、本作も200万部突破目前ということで、アニメ化への期待も高まります。
原作ストック的にも生徒会選挙前ぐらいであればキリもいいでしょうし、ここは1クールでもいいのでぜひアニメ化してもらいたいです。