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『幼女戦記』第22巻 カオスの地・南方大陸を戦い抜け!!

先月21巻が発売されたかと思ったら、もう22巻が発売された『幼女戦記』。アニメの第2期も決定し、アニメ・マンガとも勢いづいております。さて、この22巻では南方大陸へと逃げたフランソワを追うため、帝国が急遽編成した南方大陸派遣軍団が活躍する【南方戦役】が描かれます。ターニャたち第二〇三航空魔導大隊も合流し、いよいよ南方戦役が本格的に始まるというのが主なお話し。

注目は21巻から登場した新キャラのロメール少将。一見破天荒なキャラに見えますが決断力に優れ、部下からの信頼も厚い。第二のターニャといってもいいくらいの良いキャラクターです。

目次

東條チカ(著)『幼女戦記』 第22巻

22巻では第63話~66話までを収録。すべて南方戦役での戦いとなっております。前回のレビューは(20巻ですが)以下の記事を参考にしてください。

https://evafreak.com/youzyosenki-20/

表紙はターニャ・フォン・デグレチャフ少佐。最近は大隊メンバーやレルゲンたちと一緒に描かれることが多かったので、久々のピンイラストです。相変わらず目ぢからがすごい。

幼女戦記コミックス第22巻の表紙

引用:東條チカ(著)『幼女戦記』第22巻 表紙 KADOKAWA 2021年6月発行より

毎回凝っているオビについては、今回は週刊誌の中吊り広告風。フォントやカラー、見出しがいかにもそれっぽくて実に凝っていて、これ目当てで書籍版(電子版には今のところ無い)買ってもいいくらいです。

幼女戦記コミックス第22巻の帯は週刊誌の中吊り風。月刊幼女戦記

引用:同上

なお、オビの一番左にある「永久保存版 白銀のターニャ」のイラスト集は、作者の東條チカ先生のツイッターにイラストが上がっております。ノリノリっぽい?写真の中に、ぎりぎり嫌がるのを我慢した顔もあって素敵です。

また、アニメ二期決定のお祝いイラストもあります。実に良い表情のウォーモンガーどもが描かれており、戦場でこんな部隊に当たったら生きた心地がしないでしょうね。

ターニャの気持ちを知るゼートゥーア

話しは前回から少しさかのぼって、帝国軍が南方大陸へと軍を派遣するに至った経緯が描かれます。

ゼートゥーアが参謀本部の偉い面々と話し合ってますが、フランソワを南方大陸へ逃がしてしまったことで帝国は勝利を逃したとするゼートゥーアに対して、あくまで敗戦国の悪あがきだとする参謀本部。ターニャの真意に気づいているゼートゥーアはこのまま戦いが続けば絶望的な世界大戦へと突入することがわかっているのですが、さきの戦争の勝利の余韻が覚めない軍上層部とは話しがかみ合いません。

帝国軍の上層部とやりあうゼートゥーア。ターニャの気持ちを理解する

引用:同書16ページより

フランソワを叩くまでの過程があまりにも劇的で完璧でしたから余計そうなのでしょうが、成功体験をした直後に最悪を想定しろとはいつの時代であっても難しいですね。後世の歴史を知るターニャはともかく、この時代を生きているゼートゥーアが聡明すぎるのでしょう。

そのゼートゥーアは、ターニャがその真意を誰にも気づかれずこれまで歯がゆい想いをしてきたことを、今になって思い知ります。のちに再会することもあるでしょうが、二人がそのときどんな話しをするのか今から楽しみですね。

似た者同士の名コンビ?

時間は戻って、南方大陸へ到着したターニャはロメール少将との対面を果たします。お互い似たもの同士なのか思っていた以上に話しも弾んでいるようで、理解ある上司に巡り合えてはしゃぐターニャが久しぶりに生き生きとしているように見えます。

しかし、ここでロメールのターニャ評が語られますが、ちょっと驚いたのはターニャの帝国軍内部での評価。

どんな任務も成功させ、前線の兵士たちからも英雄と称えられる第二〇三航空魔導大隊とターニャなので、てっきり帝国軍内部の評価もウナギの滝登りかと思っていたのですが実態はその真逆。

指揮権に対する明確な異議申し立てや抗命未遂による講評の拒絶など、軍上層部からの評価はかなり低いというかぶっちゃけ厄介者扱いのようでした。

ターニャ・フォン・デグレチャフの帝国軍内での評価は低い

引用:同書34ページより

確かに上官に対しては立場をわきまえつつも反抗的な態度も取っていましたから、言われてみるとこの評価にも納得です。大隊編成までは異例ともいえる出世街道だったターニャですが、前線での活躍のわりに昇進の話しが無いのもこれが原因だったりするんでしょうか。

そんな評価ですから、司令部の方針には従うが二〇三大隊に独自行動権を認めてほしいというターニャに、ロメールが困惑するのも当然。やっぱり厄介者かと警戒しますが、ターニャが私利私欲のためではなく帝国や故郷を想っての発言であることがわかると限定的ながら権利を認めてくれました。

部下の荒唐無稽な発言を門前払いせずに、聴く耳をもって判断する。簡単そうに見えてなかなか難しいのは社会人なら誰しも思うところではないでしょうか。ロメールの度量の広さには感心します。

ターニャとロメール。南方戦役を戦うべく組んだ名コンビ

引用:同書51ページより

ターニャのほうもこの対面でロメールを信頼できる良い上司と認識したようです。もしかしたら自分よりも狂犬では、などと考えるターニャ。お互いを「最悪の知人」「最高の共犯者」と評する二人はどこか似た者同士に見えます。様々な国の思惑が入り乱れたカオスな南方大陸で、これから一緒に戦う名コンビが誕生しました。

第二の主人公・ロメール

さて、前回から登場したロメールという人物ですがとても聡明で決断力・行動力にも優れており、非常に有能な人物のようです。細かい仕事をあまりしなかったり、戦場で自らが先頭に立ったりするなど部下からすると心休まる時は無いかのようですが、それでも部下や民間人を大事に想い、結果も残してきたためか信頼は厚いようです。

また、今回は進軍が早すぎてついてこれなかった落伍者や離散部隊をロメール自らが探しに行くというビックリな行動をとるのですが、この破天荒な行動も前線の兵たちからすれば自分たちを決して見捨てない司令官と写りますから人気が出るのも当然でしょうね。後世ではロメールは【前線兵士達の父】などと呼ばれたそうです。

ロメール少将の演説。前線兵士からの人気が高く志願兵も多い

引用:同書147ページより

兵士の人気から従軍記者たちもこぞってロメールを持ち上げ、おかげで南方大陸派遣軍団の士気は高まる一方。本土にもその熱気は伝わり、続々と志願者が集まってきます。おかげで急造だった軍団はロメールが望むだけの戦力が集まる一大注目地となったのです。

もちろん有能なだけではなく失敗(危うく敵に捕まりそうになったり遭難したり)もありますが、そこがまた読んでいて楽しい。ターニャとは違った魅力のある第二の主人公みたいです。

ルーシー連邦のヤバい奴

ところで、22巻ラストではルーシー連邦のロリヤ内務人民委員部長官が初登場。アニメ劇場版で一足先に登場し、ターニャをも(遠隔から)震え上がらせるそのロリコンっぷりでえらく目立っていた彼ですが、ついにマンガ版にも登場しました。

ルーシー連邦のロリヤ内務人民委員部長官のマンガ版初登場

引用:同書155ページより

ロリヤの元ネタはラヴレンチー・パーヴロヴィチ・ベリヤ(Wikipedia)というソビエト連邦の政治家だそうですが、ロリコンのベリヤだから「ロリヤ」という名前のようです。ちなみに実際のベリヤは「フラワーゲーム」と呼ばれるおぞましい遊びを楽しむ、アニメで描写されていた以上にヤバい人物だったようです。

さて、同志ロリヤですが、帝国の東方にある国境付近の宿営地に視察に来ていたようですが、フランソワとアルビオンにかまけている帝国が隙だらけに見えているらしい。これはいよいよルーシー連邦が帝国に攻め込んでくるのか。次巻はまた緊迫した展開になりそうです。

感想

いよいよ本格的に始まった南方戦役。ロメールの登場で画面が大変賑やかになり、今後の展開が非常に楽しみになってきました。

上でも書いてますがターニャの軍内部の評価が低いのは驚きでした。レルゲン中佐がターニャの素行で胃を痛くしていたのは直接的な被害?も多いでしょうが、優しい彼のことですからターニャをよく知り彼女の実力を認める者として悪く言われる事へのストレスもあったのかなと思います。

そういえば、セレブリャコーフ先任少尉殿はだいぶ出番が少なかったですが、存在感はバッチリでしたね。いつか味方をもコロコロしそうで怖いですけど。

デグレチャフ少佐の悪口は許さん。セレブリャコーフ先任少尉どの

引用:同書80ページより

また、ウーガ少佐も久々の登場でしたが相変わらずターニャとは通じ合っているようで、往年の「通じていないボケ」が観られて面白かったです。でもまるで逢引しているみたいで、ヴィーシャからどんな風に見えているのか気になります。

かみ合わないターニャとウーガ少佐の会話

引用:同書149ページより

南方戦役では、合州国やルーシー連邦などのこれまで出番のなかった国々が入り乱れる世界大戦の始まりとなるお話しですので、派手な戦闘や政治的な駆け引きがたくさん出てくると思います。幼女戦記のコミカライズは東條チカ先生の絵柄のうまさだけでなく複雑な戦況や外交関係の伝え方・描写も非常に巧みですので安心して楽しめます。

アニメの第2期も発表されましたし、今後の展開が非常に楽しみなシリーズです。

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