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『BTOOOM!』第26巻 完結編その1 『Light 友情編』の感想

BTOOOM第26巻 最終巻友情編の表紙は竜太

『BTOOOM!』(ブトゥーム)の最終回が収録されたコミックス第26巻が発売されましたのでレビューします。

アニメ化もされた本作もついに最終巻。
しかし、マンガとしては非常に変わっており、『Light 友情編』と『Dark 真実編』という2種類のエンディングを表現した2冊のコミックスが発売されました。

この記事では『Light 友情編』を紹介します。

目次

井上淳哉(著)『BTOOOM!』 第26巻 Light 友情編

『BTOOOM!』の最終巻である第26巻は非常に凝った展開となっており、『Light 友情編』と『Dark 真実編』という展開が異なる2冊が存在します。

これは最終回をちょっとだけ変えたのものではなく1冊のほとんどの展開が異なっており、同じ描写やコマも多少はありますがそこまでの展開が全然違うものとなっております。

まるでゲームのマルチエンディングをマンガで再現したような2冊同時展開ですが、もちろん2冊とも公式のエンディング。ここでは『Light 友情編』を紹介しますが、別記事では『Dark 真実編』も紹介しております。

https://evafreak.com/btooom-26-dark/

なお、作者によれば『Light 友情編』は“僕なりのバランスでハッピーエンドを表現した”とのこと。また、通常のコミックスよりも20ページほど分量が多くなっております。

なお、『BTOOOM!』とは直接関係ないのですが、コミックスを買ったときに入っていたチラシに『極主夫道』という面白そうなマンガがありましたのでそっちもレビューしております。参考までに。

https://evafreak.com/goku-syufudou-01/

第26巻では第118~121話までを収録。表紙は竜太。これまで描かれてきた竜太よりも目が小さくて、ちょっと変わった印象を受けます。

引用:同上

中表紙は織田。最終巻は主人公がくると思っていたので意外でした。

BTOOOM第26巻の中表紙は織田

引用:同書 中表紙

なお、前巻については、以下の記事を参照してください。

https://evafreak.com/btooom-25/

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織田を説得する

『Light 友情編』では最後の敵・織田を説得することを選んでいきます。

織田を説き伏せる選択をする竜太

引用:同書 9ページ

母親のため、あくまでゲームに勝利して島を脱出することにこだわる織田に対して、これ以上の殺し合いは無意味という竜太は吉良・ヒミコとともに織田と対峙します。

お互いの想いをぶつける竜太と織田でしたが、竜太の説得もむなしく激昂した織田と結局は殺し合いをすることに・・・。鷹嘴たちの思い通りにゲームが再開されてしまいます。

竜太の説得に応じず、戦うことを選ぶ織田

引用:同書 42~4ページ

織田は仮に竜太たちと島を脱出できたとしても、今度は逃亡者としてシュヴァーリッツ財団に追われる身となり、そうなったら目の見えなくなった母親を守ることができないことを危惧しているようです。確かに脱出した先の計画がなければ、そう簡単に話しにのるわけにはいきませんよね。

特殊部隊 vs ドローン部隊

ゲームが再開されてしまったことで、ペリエたち特殊部隊は竜太たちに手を出せなくなってしまいます。うかつに手を出すと、ゲーム再開でいったん手を引いた米軍のドローン部隊が再び襲いかかってくるからです。

しかし、ペリエは単独で織田の人質となった輝夜と上杉を救いに動きます。これにより、ペリエの護衛が任務の特殊部隊も動かざるを得なくなりますが、彼らも本心ではこのまま傍観はできないと思っていたようで覚悟を決めたようです。

そしてペリエが倒れている輝夜と上杉のもとへたどり着くと、突然地面に埋まったトラップ用のBIMが爆発。起爆させたのは仕掛けた織田ではなく、ティラノスジャパンにいた三田村でした。

どうやらペリエを始末するチャンスということで、BIMを遠隔操作して爆発させたようです。ゲームは再開しているので本来運営が介入してはまずいのですが、ペリエは本来のプレイヤーではありませんし、キラーチップを握られている状況ですのでなりふり構ってられないということでしょう。

この爆発で特殊部隊とドローン部隊の戦闘が再開。ペリエはドミトリー隊長に救われましたがドミトリーは負傷、そこへドローン部隊が容赦なく襲いかかってきます。この戦闘でボリスやスナイパーのユリアも負傷してしまい、特殊部隊は徐々に押されていきます。

死を覚悟したユリアは、最後にドローンを操っている上空のオスプレイを狙撃することを決意。

ドローン部隊を操るため900メートル上空にいるオスプレイを狙撃するユリア

引用:同書 133ページ

コンピュータ制御のバランサーを持ち、900メートルも上空にいるオスプレイを撃ち落とすのは至難の業でしたが、援護に駆けつけたウラジミールのおかげもあって狙撃に成功、オスプレイを落としました。

これによりドローンを操縦するどころではなくなった米軍。不時着したはいいのですが特殊部隊の総攻撃を受けて、あっけなく制圧・敗北してしまいました。
これまで竜太たちをさんざん苦しめてきたドローン部隊でしたが、操縦している人間はドローンの操縦がうまいだけの一般人でしたから、軍人と直接対決しては勝ち目なんてあるわけないですよね。

織田のコンプレックス

さて、織田と戦う竜太はBIMの持ち数がまったく違うため、中々反撃できずにいます。そんな時、偶然地下に通じる穴に落ちてしまいます。どうやらこの島全体が戦争で使われていたものだったらしく、竜太が落ちたのは地下壕だったようです。

そこへ織田をおびき寄せ、再度説得を試みる竜太。しかし織田は聞く耳もたず、BIMではなく接近してからの格闘戦に持ち込んできます。

織田と竜太のラストバトル

引用:同書 103ページ

引きこもりニートだった竜太と、ケンカ慣れした織田では勝負になりません。織田はあっという間に竜太を殴り倒してしまいます。

ここで勝利を確信した織田の、竜太への心情が語られます。
小学生のころ同じクラスの同級生だった竜太と織田。竜太は明るい性格でクラスの人気者であり、逆に体が弱く臆病だった織田は竜太にあこがれていたそうです。

あるとき、クラス全員でソフトボールをすることになり竜太がチーム分けを行ったのですが、織田はそこでハンデ扱いされてしまい屈辱的な思いをすることに・・・。

そのときの惨めな気持ちを持ったまま大人になった織田は、ずっと竜太にコンプレックスを抱きながら生きてきたというのです。しかし、それもここで竜太を殺せば終わりといい、涙を流しながらもとどめを刺そうとしてきます。

竜太にとどめを刺す際、涙を流す織田

引用:同書 148ページ

ちなみに、ここの織田の心情については『Dark 真実編』でも語られますが内容がだいぶ異なっていて、その後の竜太の行動も異なっています。

どちらも織田を突き動かしている原動力でしょうが、だいぶ印象が異なりますね。こちらは涙を流していたりするので、竜太との殺し合いを少しは後悔していそうです。

決着

織田に殴り倒され、絶体絶命の竜太でしたが、そこへヒミコと吉良が乱入してきます。
互いにホーミング式を見せ牽制し合うのですが、竜太の合図でヒミコがホーミング式を織田へ投げつけます。同時に織田も吉良とヒミコへホーミング式を投げつけ、自分は竜太の元へ走って行きます。

竜太がバリヤー式を隠し持っていると予想した織田。実際その通りで、竜太はバリヤー式を展開、そのバリヤーの中に飛び込んでいきます。

が、これが竜太の狙いで、バリヤー式をわざと読ませ、飛び込んできた織田をカウンター気味に殴りつけます。

織田とのバトルに決着を着ける竜太の一撃

引用:同書 182~183ページ

まさかの反撃を無警戒でまともに受けてしまった織田はノックアウトされてしまいましたが、倒れ込んだときにバリヤー式から左足だけ飛び出してしまい、そこへヒミコのホーミング式が炸裂、左足首を吹っ飛ばされてしまいました。

なお、織田のはなった2つのホーミング式は吉良が竜太の作戦を読み、1つは同じホーミング式で撃ち落とし、ヒミコを狙ったもう一つは素手で掴んで解除するというBTOOOM上級者らしいテクニックを見せ(過去に竜太もやっていましたが)無事に済みました。

左足首を吹っ飛ばされた織田は戦闘不能。これで戦いは終わったと竜太は宣言し、生きてさえいればわかり合える時間はあると織田を諭し、決着となりました。

島からの脱出

織田が戦闘不能になり、ほかのプレイヤーはもちろんゲームを続ける気はないため、結局ゲームの再開はこれ以上できなくなりました。

ゲームの進行ができなくなったため、竜太のBIMを遠隔操作で爆発させて相打ちしたように見せかけようとした三田村でしたが、鷹嘴のチップからティラノスジャパンの様子を伺っていたペリエがこれを阻止、キラーチップを発動させ三田村を殺しました。
個人的には想像していたような活躍はあまりなかったペリエでしたが、最後の最後で竜太たちを救ってくれました。

米軍のドローン部隊も制圧されたため、これ以上打つ手がなくなったシュヴァーリッツ卿は、見せしめとして島を空爆することを命じます。それを察知したペリエたちは、島に来るときに使った潜水艦で急いで脱出します。

島から生きて脱出した竜太やヒミコたち

引用:同書 242~243ページ

最終的に生き残ったのは、ゲームプレイヤーは竜太・ヒミコ・吉良・織田・輝夜・上杉の5人でした。織田・輝夜・上杉は重傷ですが、潜水艦内で手術を受け、命は助かった模様です。
しかし、シュヴァーリッツ財団という世界を敵に回してしまいましたから、島を脱出してもこのまま日本へ帰ることはできません。しばらくはペリエたちと行動を共にしながらの逃亡生活になるようです。

なお、ゲームがストップしてしまったBTOOOMは、シュヴァーリッツ財団と富を二分するハロルド・ノーティマーが飯田を引き抜く形で乗っ取ることに。弱みを見せてしまったシュヴァーリッツは渋々計画から手を引く結果となってしまいました。

結局シュヴァーリッツ財団を壊滅させることは出来ませんでしたが、数百億ドルを投じたプロジェクトを頓挫させることができただけでも大ダメージを与えられたということでしょうか。

そして島からの脱出後のエピローグも描かれておりますが、そちらはぜひコミックスでご覧ください。

感想

以上、『Light 友情編』のレビューでした。

長らく続いた『BTOOOM!』もこれで終わりと思うと寂しいですね。登場人物が非常に多かった今作ですが、それぞれ個性的なメンバーばかりでしたがそれらをうまく動かした非常に見応えのある作品だったと思います。

作者の井上先生によれば、こちらのエンディングは読者のニーズを考えたハッピーエンドな展開だそうですが、『Dark 真実編』とは生き残ったメンバーもシュヴァーリッツ財団のその後もまったく異なるエンディングとなっております。読後は確かに多くの読者が望むような展開だったように感じました。

諸悪の根源であるシュヴァーリッツ財団やティラノスジャパンが壊滅するようなことがなかったのは個人的にはモヤモヤしますが、主人公である竜太やヒミコが無事に島を脱出できたのが何よりもハッピーエンドといえるでしょう。

意地悪く言えばだいたい良い落としどころに着地したような、(良い悪いではなく)ある意味予想通りな終わり方でした。そこは作者の井上先生もあとがきでおっしゃっているところで、その狙い通り『Light 友情編』は気持ちのいい読後感を与えてくれました。
もし、今からもう一度アニメ化するなら、こちらのエンディングで行ってもらいたいですね。

なお、『BTOOOM!』のスピンオフ『BTOOOM!U-18』が月刊コミックバンチで連載中です。そちらは『Light 友情編』の数年後が舞台ということですからファンとしては楽しみです(コミックスも2018年冬に第1巻が予定されております)。

そして、井上先生自身が【アイデンティティ(個性)】を重視したという結末は『Dark 真実編』で語られることになります。こちらも物語の一つの結末として、ファンならば必見の内容となっておりますので、ぜひともコミックスを購入してもらいたいですね。

井上淳哉先生、お疲れ様でした。素晴らしい作品をありがとうございました。

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